■切削加工のメリット・デメリット
【メリット】
スリット加工において、多種多様・複雑・高精度を可能にします。
【デメリット】
1.切削加工は、複雑な形状になればなるほど、刃物の種類が多くなったり、段取り替えの工程が増えたりする等、手間と時間がかかります。
2.切削加工は、大きめの材料から不要な部分を取り除いていくため、除去加工とも呼ばれています。したがって、削られた不要な部分の材料が無駄になります。
■切削加工からプレス加工へ工法転換することによりスリット加工を実現
上述のとおり、多種多様・複雑・高精度の加工が要求される場合には、一般的に切削加工(メタルソー加工)が行われます。しかし、当社では長年培ってきた金型製作および機械加工の経験・ノウハウを生かし、多種多様・複雑・高精度の加工に対応可能なプレス加工による技術開発に成功しました。このことにより、プレス加工のメリットを享受しながら、今までプレス加工では困難と言われていた多種多様・複雑・高精度の加工を可能としました。
■プレス加工とは
プレス加工を行うには、「プレス機械」、「金型(1対になった工具)」、「被加工材(加工される材料のこと)」が必要になります。プレス機械の中に金型を取り付け、その間に金属などの被加工材を入れて大きな圧力を加え、素材に金型の形状を写すことにより成形する加工法がプレス加工です。被加工材が金属ではなくて紙になりますが、穴あけパンチを使って書類に穴をあけるのもプレス加工の一つといえます。一般的には大量生産に向いていて、家電・自動車・各種部品などに多く採用されている加工法です。
■切削加工からプレス加工へ工法転換することによるメリット
1.大幅なコストダウン
切削加工からプレス加工に工法変換する最大のメリットはコストダウンです。切削加工ですと1分間で製品を製造するのは難しいですが、プレス加工であれば1分の間に数個の製造も可能です。製作時間が短縮されることにより、生産性の向上およびコストダウンが実現できます。ただし、金型の製作費を考慮に入れると、大量生産に向いているといえます。
また、スリット加工時に切削加工ではバリが発生してしまい、後工程でバリ取り作業が発生してしまいますが、プレス加工であればバリが発生しないので、工程集約によるコストダウンが可能となります。バリとは、材料を切断・切削する際に、加工面に生ずる不要な突起(出っ張り)のことで、バリが発生すると、後工程でやすりや専用器具を使ってバリを除去する工程(バリ取り)が必要になります。
また、切削加工は材料を削る分、余分な材料費がかかりますが、プレス加工では材料を削る必要がないので、材料費の削減によるコストダウンが可能となります。
(例えばロット1000個程度の場合、プレス加工では数百円単位であるのに対し、切削は数千円くらいの差になります。)
2.品質の安定化と検品作業の効率化
切削加工とは異なり、一度金型を完成させてしまえば、同じ品質の製品を大量に、比較的歩留まりを少なく作ることができるので、品質の安定化と検品作業の効率化を図ることができます。